2009年12月07日

内藤正明氏講演会で考えた・・・

内藤正明氏講演会で考えた・・・

 まるエコの最終日、未来予想絵図ワークショップ・エピローグの前に、琵琶湖環境科学研究センターの内藤正明先生による講演会「滋賀をモデルに、持続可能な社会を描く」がありました。
 いわばこれがプロローグ。大好きな内藤先生のお話なので、いそいそと行ってきました。

 簡単に言うと、今のような便利で贅沢な時代は続けることはできないよ、社会と暮らしを抜本的に変革しないといけないよ、そのために私たちに残された時間はもうほとんどないか、手遅れのところまで来ているよ、では、滋賀に暮らす私たちは実際にどうしていけばいいのだろう、という内容でした。

 私も含めて、環境問題にまじめに取り組んでいる人は将来を悲観的に考えている人が多い、というか、残念ながら悲観的にならざるを得ない状況にあります。 
 先生のお話の中で示されたものに、オイルピーク(石油の生産量が減少に転じること)後の20XX年の日本の姿を表したものがありました。経済産業省の外郭機関である(独)産業技術総合研究所によるもので、こんな未来像が描かれていました。

・コンビニは配送用のトラックが動かず、品数が激減し、夜間は節電のため閉店
・冷凍保存が必要な食料が、スーパー、コンビニから消える
・自動販売機がなくなる。
・野菜などの外国産が姿を消し、国産の野菜が高値で売られるが、量が少なく、一般家庭ではほとんど買えない
・肉・魚も輸送燃料不足で、ほとんど輸入がなくなる。国産品は量が少なく、一般家庭ではほとんど買えない
・米国からシーレーン確保のための巨額の軍事費を要求され、税金の負担が増大
・エネルギー確保が各国政府の最大の課題となり、自国のエネルギーの囲い込み、エネルギー供給の自給自足を目指す
・グローバルな世界から、一転してナショナリズムが台頭
・国際的テロが増大
・国内も緊張状態となり、移民コミュニティを標的として内紛が多発
・石油代替エネルギーは概ね生産するのに必要なエネルギーの割合が大きく(EPRが小さく)、また量的な制約があることから、各国政府は開発支援を行わない


 ……まあ、普通に考えたら予測できるような内容なんですが、経産省の研究機関のお墨付きとくればさすがに背筋が寒くなります。
 今のままだとそう遠くないうちにこんな日本になるわけで、つまりは私たちの子どもが大人になるころにはお先真っ暗ってわけで。

 で、そんな世界はイヤだ、私たちが望む世界はこれなんだ、とみんなで絵にしたのが、未来予想絵図だと言えます。
 ワークショップエピローグの最後にコメントを求められた内藤先生は、こんな話をされました。
 この絵を見ながら、私は胸が痛い。自分が子どものころにちょうど鉄腕アトムが流行っていた。その頃の理想の未来社会といえば、高層ビルが建ち並び、高速道路が縦横に張り巡らされた、科学技術で埋め尽くされたまち。そんな社会を目指してがんばってがんばってきた結果が、こんなにおかしな社会になってしまった。今ここに描かれた夢はそれと対極にある、自然と人間が共生する社会。技術屋としてがんばってきた私は、罪滅ぼしのためにも持続可能な社会の姿を追求していきたい——。

 ああ、そうなんだよなあと思いました。
 だれかが悪いってことじゃなくて、みんなが、自分が幸せになるためにしてきた結果が今のゆがんだ社会なのです。
 本当の幸せって何なんだろうということを考え、スモールでスローな暮らしと社会をつくっていかなきゃ、それが子どもに対する私たちの責任だと、あらためて考える機会となりました。

(げんげん)



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Posted by 遊人里(ゆとり) at 20:00│Comments(0)子どもと私のためのエコ
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